ジェンフリ・バトンに答えてみる。

ジェンダーフリーつながりで、id:mojimojiさんが提唱なさっている「ジェンフリ・バトン」に回答をしてみようと思います。

最初に自分の履歴を確認

  • 小学校(市町村立/共学)
  • 中学校(市町村立/共学)
  • 高等学校(都道府県立/別学男子/普通科
  • 大学(国立/共学)

クラス名簿を男女混合にする。

以前読んだ中では、「男女混合名簿だと、健康診断など『男女別にせざるを得ない状況』の時に面倒である」という話だったのですが、そんなものは別に名簿を作って使い分ければいいのであって、あらゆる場合において男女混合名簿を使用しない理由にはならないはずです(使用する理由にもなりませんが)

男女の呼称を「さん」に統一する。

新撰組みたいでカッコイイ。「くん」で統一するのもいいかもしれません(昔読んだ『魔法使いサリー』では、学校の先生がサリーを「サリーくん」と呼んでいた)
もっとも結局のところは、本人が呼ばれたいように呼んであげるべきだと思います。
余談ですが、個人的に「ちゃん」は使いにくい気がします。なんだか相手を劣等なものとしてみている意識が感じられるんですよね……。某mixi日記で「ニートちゃん、フリーターちゃん」という記述を見かけたときには総毛だってしまったぜ。

「男女」の名詞を「女男」に変える。

自明だと思い込んでいることを疑うための視点を提供するという意味では評価できます。しかしもし「女男」で固定されるようなことがあれば、それは「男女」が固定されていることと本質的に変わりがありません。「男女」も「女男」も種類こそ違え同じ程度の不備を抱えた言葉なのであって(どちらも前に持ってくることはできないもんね)、どうしても使用せざるを得ない文脈でない限りは、どちらも使用するべきではないと思います。「人々」とか、「両性」とか、文脈に応じて適した言葉を選ぶべきです。

スカートは最も「女らしい」服装なので、制服からスカートを廃止しようとした

それならブラジャーのほうがより「女らしい」服装じゃないか?*1 ブラジャー廃止するか? 男子+女子はノーブラで通学してください。こんなふうに、何が「女らしい」とか「男らしい」とか言っているとキリがなくなります。不毛な論争はやめようじゃないか。
ジェンダーフリーとか抜きにして、スカートよりも機能的でスタイリッシュな制服が作れるのであれば、それを採用したらいいと思いますね。
個人的には制服のスカートは好きだけど、「欲望される対象としての女子中高生」を表す記号みたいでなんか嫌でもある。
(追記)このエントリのスタンスからすると、「制服ではなく、子どもが自分で好きな服装をすればよい」という結論になるほうが妥当ですね。上の議論は、「あくまで制服の指定にこだわるのであれば」という条件付きでお読みください。

女子の体操着のブルマー廃止と同時に、男子の短パンも廃止し、男女兼用のハーフパンツとする。

子どもが使いやすいものを自分で選べばよいと思います。もっとも女子のブルマーにせよ男子の短パンにせよ下着がはみ出しやすいのが問題*2なので、サイズの合ったハーフパンツならそのような事態は回避しやすくなりますね。
個人的には以下同文。

運動会の競技を男女混合にする。

これも種類と程度によって問題が異なってきます。
例えば徒競走。私は足が遅かったので大嫌いでした。多分女子の中にも私より速い人のほうが多かったと思います。性差による能力差は確かにありますが、それは平均値をとった場合であって、個人個人を見ていけば個体差のほうが大きいと思います。
あと例に出されるのが騎馬戦。異性間の物理的接触があるのがよろしくないのでしょうか。だとしたら満員電車には乗れません。それが嫌な方は女性専用車両をご利用ください。違うって。つまり、「自分が嫌か嫌でないか」の問題に究極的にはなると思います。学校行事であれば当事者は子どもたちなのですから、子どもたち自身に選択させるべきです。子どもたちが嫌がるなら、させるべきではありません。

ロッカーや下駄箱の男女別の禁止。

むしろ男女別にする理由がわかりません。

小学校教科書の記述を「点検」。「男の子はズボンに女の子はスカートに髪かざり」、「おじいさんは反物売り、おばあさんは家で」、「およめに来て・・・・およめに行く」、「小さなお母さんになってお昼を作る」などの表現をジェンダーフリーに反するものとする。

ジェンダーフリーに反するもの」として、その後どのような対応をとったのかが問題。

  • 「教科書から削除させた」→×。批判的に考える機会さえも子どもから奪っているから。
  • 「このような記述に対しては批判的な観点から学習指導・支援を行うよう要求した」→○。

子ども自身が「自分はどれがよいか」を考え、自分の意見を表現できるようにする学習指導・支援が望ましい。
もう一つは、「昔はこのようなことを言っていた/やっていた、ゆえに昔の人は間違っている/劣っている/馬鹿である」という考え方にならないようにしてほしいということ。どの時代にもその時代なりの限界はあったのだし、その時代を経たからこそ現在があるのですから。

男女別学の公立高校を共学にする。

これは必要なこと。ただし最近では、「別学校が欲しい」という住民のニーズにも応える必要があるかもしれない、とは考えています。
共学化への反発で多いのが「成績が下がる」という論なのですが、こんな感じの話を教授から聞きました。

  1. 現行の学校制度は、男性のほうが好成績を挙げられるようにできている
  2. そのため、女子校ナンバー1は男子校ナンバー2くらいの成績とカウントされる
  3. 男子校ナンバー1と女子校ナンバー1が統合されると、成績は1.5くらいにカウントされるようになる

高校入試の合格者数を、男女同数にするよう要求する。

いわゆるアファーマティヴ・アクションの一種。ある属性(女性であるとか黒人であるとか)によって不当に待遇されていた人々の地位を引き上げ平等性・公正性を確保するためにはある程度は必要な措置と思われます。ただし、完全に同数にすることで必ずしも平等性・公正性を担保できるわけではないので注意が必要。

黒や赤などのランドセルの色を家庭が選択することを禁止し、「女男ともに黄色いランドセル」といった、統一色を要求する。

♪あなたはもう捨てたのかしら 24色のランドセル買って♪
中学のときは白い背負い鞄を一杯にして通学したものです。みんな同じ鞄でした。同じなら同じで別にいいとも考えられます。もっとも共同購入で安価に出来るなどのメリットがない限りは、必ずしもそうする必要はない(各々自分に適した鞄を用いればよい)と思います。
余談:小学1年のとき、『となりのせきの ますだくん (えほんとなかよし)』で読書感想文を書いたのですが、ますだくんのランドセルが赤でみほちゃんのそれが黒だったことを指摘した部分は当局(親)によって検閲(ボツ)されました。10年以上経ってから、ますだくんのランドセルはお姉さんのお下がりだったことを知りました。ごめんよますだくん。
なんかあんまり論が一貫してないなあ。

*1:最近では男性でもブラ着用ということがあるそうですが→http://www52.tok2.com/home/textoyx/topic/20020504.htm

*2:大学の先輩(女性)に聞いた話。バレー部の部活中に下着がはみ出すと「先輩、ハミってますよ」と指摘し合っていたらしい。